同期機と\(d\)-\(q\)-\(0\)変換
今回は同期機の過渡解析で欠かせない\(d\)-\(q\)-\(0\)変換の解説を,動画を中心に説明していきたい.
ベクトル制御に詳しい方ならば\(dq\)変換は知っていることと思う.\(d\)-\(q\)-\(0\)変換というのはこの\(dq\)座標に零相成分(\(0\)軸)を加えた\(3\)次元座標に変換することを指す.この座標系は,同期電動機や発電機の基本方程式を考える上で非常に便利な座標系となっている.定常運転(定速かつ一定負荷)の同期機はベクトル図の手法が万能であったが,回転速度や負荷などが動的に変化する状況下においては,\(d\)-\(q\)-\(0\)法が万能であり,かつ必要不可欠なのである.まずは下記の動画で\(d\)-\(q\)-\(0\)座標の物理的・数学的なイメージを復習していこう.
講義1.同期機における\(d\)-\(q\)-\(0\)変換について
\(d\)-\(q\)-\(0\)座標変換の計算そのものというより,\(d\)-\(q\)-\(0\)座標というのは何なのか,そしてどのような図形的意味を持った変換なのか,という点にフォーカスを当てて説明している.\(d\)-\(q\)-\(0\)座標というのは,回転子に視点を置いたときの座標であり,\(d\)軸は回転子の磁軸に等しく,\(q\)軸はそこから\(90^{\circ}\)回転子の回転方向に進んだ向きになっていて,最後の\(0\)軸は零相成分を表している.
この座標系が,一体同期機においてどう役立つのか,その直感的イメージと物理的意味を説明しているのが次の2つ目の動画である.(最初の3分間は1つ目の動画の復習になっており,後半の8分が同期機の解析に関する説明である.)
講義2.\(d\)-\(q\)-\(0\)変換による同期機の解析
\(d\)軸上には,固定子(電機子)巻線・回転子(界磁)巻線・ダンパ巻線の3つが鉄心を介して強力に磁気的結合をしているので,\(d\)軸上の等価回路は3巻線の変圧器としてモデル化できる.また,\(q\)軸上には,固定子(電機子)巻線・ダンパ巻線の2つが鉄心を介して強力に磁気的結合をしているので,\(q\)軸上の等価回路は2巻線の変圧器としてモデル化できる.
このように導かれる\(d\)軸の3巻線変圧器と\(q\)軸の2巻線変圧器は互いに独立ではなく,同期機の回転によって互いに結合している.\(d\)軸を実軸,\(q\)軸を虚軸に取ると,定常運転においてベクトル図の手法が導かれる.\(d\)-\(q\)-\(0\)法というのは,ベクトル図の手法も包含している,より一般的で強力な記述になっていることが確認できるであろう.
この項の内容に関する,より詳細で完全な解説は,
【徹底解説 電動機・発電機の理論】の§6-2(P.297~P.301)にて展開されています.是非ご参照を!!
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