問題12(空間図形,レベル2)の解答

 

 

問題:

 

原点を中心とした半径\(1\)の球がある.球面上に任意の異なる点\(A\), \(B\)を置く.線分\(AB\)を\(1:2\)に内分する点を\(P\)とする.\(P\)が存在し得る領域を答えよ.

 

 

 

解答1:

 

 

まず原点\(O\)を中心とした半径\(1\)の球と,あるときの点\(A\),\(B\),\(P\)の位置関係は下記左側のように描くことができる.ここで下記右側のように,三角形\(OAB\)を抜き出し,\(\vec{a}=\vec{OA}\),\(\vec{b}=\vec{OB}\),\(\vec{p}=\vec{OP}\),\(\vec{t}=\vec{PA}\),\(\angle{AOB}=\phi\),\(\angle{OPB}=\theta\)とおく.だたし,\(0\leq\phi\leq\pi\),\(0\leq\theta\leq\pi\)とする.ちなみに\(\vec{t}=\vec{PA}\)とおいたことで,「点\(P\)が線分\(AB\)を\(1:2\)に内分する点である」という題意により\(\vec{PB}=-2\vec{t}\)となる.

 

 

 

 

 

まず点\(A\),\(B\)が原点\(O\)を中心とした半径\(1\)の球面上にあることから,

$$\vec{a}\cdot\vec{a}=\vec{b}\cdot\vec{b}=1 \tag{1}$$

さらに\(\angle{AOB}=\phi\)より

$$\vec{a}\cdot\vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}|\cos\phi=\cos\phi \tag{2}$$

また,点\(P\)は線分\(AB\)を\(1:2\)に内分する点なので,

$$\vec{p}=\frac{2\vec{a}+\vec{b}}{3} \tag{3}$$

これら式(1)~(3)より\(\left|{\vec{p}}\right|^{2}\)は

$$ \left|{\vec{p}}\right|^{2}= \frac{4\vec{a}\cdot\vec{a}+4\vec{a}\cdot\vec{b}+\vec{b}\cdot\vec{b}}{9} = \frac{5+4\cos\phi}{9} \tag{4} $$

と計算される.ここで点\(A\)と点\(B\)は異なる点であったから\(\phi\neq{0}\)であり,\(-1\leq{\cos\phi}<1\)となるため式(4)より

$$ \frac{5-4}{9}\leq\left|{\vec{p}}\right|^{2}< \frac{5+4}{9} $$

つまり

$$ \frac{1}{3}\leq\left|{\vec{p}}\right|< 1 \tag{5} $$

これにより,\(P\)が存在し得る領域は少なくとも原点\(O\)からの距離が\(\frac{1}{3}\)以上\(1\)未満の領域内であることがわかった.次に,式(5)を満たす任意の点\(P\)に対して,この点\(P\)を\(1:2\)の内分点とする線分\(AB\)を,球面上の点\(A\), \(B\)によって構成できることを示す.\(\vec{t}=\vec{PA}\)を使うと,

$$ \vec{a}=\vec{p}+\vec{t},\;\;\vec{b}=\vec{p}-2\vec{t} \tag{6} $$

となり,式(1)と合わせて

$$ \left(\vec{p}+\vec{t}\right)\cdot\left(\vec{p}+\vec{t}\right)=\left(\vec{p}-2\vec{t}\right)\cdot\left(\vec{p}-2\vec{t}\right)=1 \tag{7} $$

ここで,\(p=\left|{\vec{p}}\right|\),\(t=\left|{\vec{t}}\right|\)とおくと,\(\vec{p}\cdot\vec{t}=pt\cos\theta\)より式(7)は

$$ p^2+2pt\cos\theta+t^2=p^2-4pt\cos\theta+4t^2=1 \tag{8} $$

これは連立方程式である.\(t\)と\(\cos\theta\)を\(p\)について解いてあげて

$$ t=\sqrt{\frac{1-p^2}{2}} \tag{9} $$
$$ \cos\theta=-\frac{\sqrt{\frac{1-p^2}{2}}}{2p} \tag{10} $$

式(5)の条件において,これら式(9)・式(10)を満たす実数\(t\)と\(-1\leq\cos\theta\leq{1}\)が常に存在することを示せれば,式(5)を満たす任意の点\(P\)について,その点\(P\)を\(1:2\)の内分点とする線分\(AB\)を,球面上の点\(A\), \(B\)によって構成できることになる.式(5)より\(1-p^2>0\)なので,式(9)を満たす実数\(t\)は常に存在する.また式(10)についても,式(5)を満たせば

$$ 0<\left({1-p^2}\right)\;\;{and}\;\;1\leq{9p^2} \tag{11} $$

が成立,つまり

$$ 0<\left({1-p^2}\right)\leq{8p^2} \tag{12} $$

となる.これにより

$$ \frac{\sqrt{\frac{1-p^2}{2}}}{2p}=\sqrt{\frac{1-p^2}{8p^2}}\leq{1} \tag{13} $$

となるので,常に式(10)を満たす実数\(\theta\)は存在する.よって,\(P\)が存在し得る領域は式(5)を満たす領域全体であり,下記の図中の灰色で示した領域となる:

 

 

 

 

 

 

 

 

講評:

 

 本問は,原点\(O\)を中心とした回転対称性を持っているので,点\(P\)が存在し得る領域は,中心からの距離\(p=|\vec{p}|\)のみで特徴づけられることは直感的に理解できることと思う.一つ注意しなければならないのは,許される\(p\)の範囲\(\frac{1}{3}\leq{p}<1\)が求まったら,今度は\(\frac{1}{3}\leq{p}<1\)を満たすすべての点\(P\)が題意を満たし得ることを,何らかの形で示す必要があるという点である.上記の解答では演算的に示しているが,”回転対称性”をうまく用いて論ずれば,言葉で示すことも可能だろう.